東京雑記

‐Tokyo Miscellaneous Notes‐

小規模の演劇公演に集客する方法

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私は、学生の頃、演劇をやっていました。社会人になると同時にやめました。今、少しだけ、仕事を通じて、学んだことがあります。そこで、学生の当時の私に演劇や舞台の公演における集客の方法を教えるとしたら、何を言えるだろうか、思いました。

 

まず、公演の集客のためには、まずは、「おもしろい作品を創る」ことが必要です。そして、次に、宣伝により、知名度をあげて、観客に見てもらい、ファンをつくっていくことが必要です。上演する価値があると観客が判断してくれると次も観てくれるようになります。

 

これまでも20年近く、無名の劇団が有名になり、活躍する様子を見てきました。無名が有名になることは可能です。無名の劇団の場合は、まず集客1000名をめざしてみましょう。そして、次に3,000名をめざす。3,000名の集客があると、メディアや大手事務所が近づいてきます。そこで、彼らと手を組み、さらに5,000、1万という単位になってきます。この頃には、商業演劇の仲間入りをしていて、有名タレントさんがキャストが入ってくる形になります。

 

 そして、「売れる」ことにより、さまざまな大人の制約がきます。大人の制約をよしとして、続けるか、「できない」として、規模を縮小するか、それはその時に考えればよいことだと思います。

 

続いて、集客をする前にまず行うことがあります。

<集客の前にする事>

1)戯曲を選ぶ。

 これは既存の戯曲なのか、オリジナルなのか。おもしろい、と思えるものを選びます。プロットでもよいです。プロデューサーと劇作家と演出家が三位一体になる必要があります。ひとりが兼務することもありますが、プロデューサーの存在は必要です。

<2019年8月 追記>

プロデューサーと主宰の関係はタレントとマネージャーの関係。主宰の才能をどうプロデュースするか。才能に惚れ込めるか。旗揚げ前に、本当にいろいろな話をして、信じあうことができたら、船を漕ぎ出しましょう。 

2)演出や役者を選ぶ。

 戯曲を演じたい、舞台の上で表現したい、そういう方と一緒に作ると楽しいです。この人集めが大変です。旗揚げメンバーが最後まで残るとは限りません。やってみないとわからないことだらけです。やれることとやりたいことを考えて、やりたいことの中からやれることを選んで、やっていく。そういうやり方がよいのではないか、と思います。 

3)予算組をする。

集客力に応じて、予算組みをします。最初の公演で、集客できることはまずありません。観客は友人や親戚関係が中心です。小劇場の界隈で演劇をされている方なら、100~200人程度の集客力がある方はいらっしゃいます。予算組ですが、まったくの初心者は、最初は50万円程度で公演を行い、実践で慣れてから、1週間の10回公演に挑戦して、300万円程度の予算組で1000人規模をめざしていくとよいと思います。

 

4)小屋をおさえる。

 どの劇場でやるか、予算が決まれば、キャパが決まり、設営と撤去の期間もふくめて小屋(劇場)をおさえます。

5)次の作品を考える。

戯曲、演出、配役、会場が決まれば、あとは開演にむけて進んでいきます。このタイミングで、プロデューサーは、次の作品で何をやるか、見えていることがポイントになります。ここを決めずに、現在の作品にとりかかると、次の手を打てずに、上演が終わります。「次の作品で何をやるか」が見えている劇団は、次の公演の告知を上演後に行うことができます。上演の評判があるうちに、次の公演の日程を告知できれば、継続的な集客(ファンづくり)へと繋がっていきます。

6)公演実施がプロモーションになる。

 公演の感想を、いい意見も、悪い意見も広めていきましょう。認知度がとにかく大事です。その時に用意していた、「次の公演」を広く広めることが重要になります。

7)このサイクルを繰り返す。

 次の公演の会場を決めたら、またその次の公演の準備をしていきます。

 以上が、過去の私に教えたい事です。

 

【追記】 

WEBで「演劇 舞台   集客 方法」「演劇 マーケティング」「小劇場 宣伝」等で検索をかけるが、まともな事を言っているサイトがありませんでした。商業演劇では当たり前に行われていることも小劇場では予算がかけられず、効果的に行えないし、費用をかけずに行うことで、本来やらなくてはならないことができなくなります。アウトソーシングも視野にいれて宣伝を行い、集客を図っていくことができるとよいと思います。

 

【ツイッターの反応】 

https://twitter.com/Tokyo_BBS/status/1027499816589254656

 

舞台・演劇公演への集客のための7ステップ

(1)告知

 いつ、どこで、だれが、なにを、いくらで やるか。これを知らせなくては人は集まらないです。そして、それを誰に伝えるか。まずは告知用のブログサイトSNSYouTubeチャンネルチラシポスターを作ります。そして、自分を知っている人にDMを送ってください。(手段は、手紙、ハガキ、メール、SNS)最初のターゲットは自分を知っている人です。

チラシやDMの印刷では、ネット印刷が主流です。代表的な「ラクスル」のCMを見たことがある方も多いと思いますが、少部数の印刷やDM発送も対応をしています。

 

【ネット印刷参考】

 翌日出荷で100部2500円~|チラシ印刷ならラクスル! (公式サイト ラクスル!

 

<2019年8月追記>

YouTubeチャンネルを劇団で作り、どんどん発信する手法はよいです。企画があたれば、収益化も見込めます。ツイッターの動画投稿もよいです。ただし、作品ごとにアカウントを取得するやり方はおすすめできません。公演が終わるとアカウントが稼働しなくなってしまいます。「団体名@公演名・日付」みたいなアカウントにして、次の公演までは、団体名にしておくことがよいです。勿論、団体ではない場合は、プロジェクト名でもOKです。動いていないときこそ、SNSやサイトやブログを動かす、ということが必要になります。

(2)広報

 2番目のターゲットは、自分を知らない演劇に興味のある人である。演劇媒体にプレスリリースを送ります。登録制のこりっち等に登録をします。WEB上で検索をかけた際に、あなたの劇団なり、公演が情報として検索できるようになります。またSEO対策にもなり、あなたのサイトが上位に掲載されるようになります。この段階でも、旗揚げ公演の場合は、あくまで足跡を創る、劇団の歴史を創る作業として、取り組むべきです。上記の方法で第二回公演の広報活動の場合は、旗揚げ公演の感想や反響を大きく紹介し、期待感を煽ります。有名人にコメントをもらうこともひとつの手で、「ビートたけしが認めた才能!」みたいなキャッチのことです。この時、許される誇張はあってもよいが、嘘はダメです。

 

(3)宣伝

 宣伝とはお金をかけておこなう広報活動の事です。雑誌やWEBに広告費を払い、宣伝をしてもらいます。FBやTwitterで属性をセグメントして、出稿してもよいです。2~3万円程度では効果は得られないですが、属性の合う人に広報活動をすることができます。効果を得るためには30万円程度は、かかりますが、小劇場の場合は、劇団なり、公演のステータスをあげるための費用と思い、思い切って宣伝予算を割くとよいです。お金さえ出せば、無名でもある程度は有名になれます。3番目のターゲットは媒体です。

 

(4)触れあう。

これはホストやキャバクラと同じ集客方法。こまめに連絡をとり、店に来てもらうように、劇場に足を運んでもらいます。イケメンや容姿端麗な女性に多いがこのやり方では、芝居そのものよりも、あなたに会いにくる客が増えます。いずれにせよ、限界がくるやり方ですが、1000名程度までは、このやり方でよいです。また、目安として、ファンが200名を越えたら、ひとつ線を引くほうがよいです。この段階で、昔のファンからは、あなたは変わった、あるいは次のステージへ行ったと言われるようになります。4番目のターゲットは来場してくれるお客様である。

 

(5)お客を媒介にする。

いわゆる「口コミ」。小劇場界にもインフルエンサーはおり、そういう方へDMを送り、芝居を観にきてもらい、感想をかいてもらう、という手法があります。仮に感想が、「とてもツマラナイ」という事だったとしても、それは受け止めましょう。まずはお客様に感想を書いてもらう。5番目のターゲットは発信するお客様である。プチインフルエンサーと考えてよいでしょう。  

 

(6)終演後

ロビーでのご挨拶、楽屋でのご挨拶。最近は、カーテンコールを写真撮影OKにしていたり、ふれあいタイムにしたりしている公演もあります。ロビーや楽屋で合うのではなく、カーテンコールで素を出して、感謝を述べ、感想をツイートしてほしい、とお願いしてはいかがでしょうか。 6番目のターゲットは来場してくれたお客様である。

 

(7)有名人を劇場に呼ぶ

有名人の知り合いがそもそもいないかもしれないのですが、横のつながりで、有名人の知り合いの知り合いくらいの人はいるようになります。その方にお願いして、有名人のいる事務所の俳優さんに、ギャラ払って、自分の公演に出演してもらったり、チラシに推薦文をもらったりしましょう。7番目のターゲットは有名人です。

 

以上、7つの方法が集客のためのステップアップの手法です。大事なことは、3年をひとつのサイクルとして、年2本の公演を行う計算で、段階を追って、組み立てていくことだと思います。

 

【2019.6.6追記】

宣伝方法について、広告代理店が独占していた市場の 新聞折込や駅貼りが身近になっています。これは、「ラクスル」のようなサービス展開が急成長したこちいいるので、より身近に使えるアイテムになっています。興味ある方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。

※新聞折込⇒新聞折込のラクスル

 

【2018.9.27追記】

SNSの活用方法

tokyo-bbs.hatenadiary.jp

公演告知ができるサイト

tokyo-bbs.hatenadiary.jp

 

 

また、ここで一冊、本を紹介をします。ダ・ヴィンチニュースより引用です。 

 『都市の舞台俳優たち アーバニズムの下位文化理論の検証に向かって』(田村公人/ハーベスト社)

 筆者が小劇場に舞台を見に行くとき、友達を誘うと「誰か知り合いでも出てるの?」とよく聞かれる。そのたびに演劇好きとして感じるのは、「芸能人も出ていないような舞台って、関係者に誘われない限り、ふつうは見に行かないものなんだなぁ」という寂しさだ。

 また一方で、小さな劇場で年に数回だけ公演を行う劇団を見ていると、「俳優たちはこれじゃ食べていけないよなぁ」とも思ってしまう。そんな小劇場で活動する俳優たちの実態を、社会学者が10年以上にわたって調査した本が最近発表された。

 その本は『都市の舞台俳優たち アーバニズムの下位文化理論の検証に向かって』(田村公人/ハーベスト社)。主な調査対象となっているのは、都内で10名程度で活動する音速発進(仮名)という劇団の俳優たちだ。そのほかの劇団についても様々なデータが収集されているのだが、本書で調査対象となった劇団の実情はかなり衝撃的だ。

(ダ・ヴィンチニュースより引用/文=古澤誠一郎)

【ダ・ヴィンチニュース】

客席の9割超は知人で、大半は他劇団の俳優!?

ノルマを内輪で消費し疲弊する、

小劇場の俳優たち | ダ・ヴィンチニュース

 この本は2015年に発売されています。現在はもう少し事情は変わっているかもしれないですが、劇場への集客のシステムを時代と共に一考していく必要はあると思います。 

都市の舞台俳優たち:アーバニズムの下位文化理論の検証に向かって (リベラ・シリーズ11)

都市の舞台俳優たち:アーバニズムの下位文化理論の検証に向かって (リベラ・シリーズ11)

  

<演劇とお金の話>

また、宣伝費を確保するためには、「演劇とお金の話」が必要になります。これはチケット代のほかに、物販収入、協賛収入が得られなくては成立しません。劇場に集客したお客さまにグッズを売り、収入をあげる。2000円のTシャツを100枚売れば、20万円。原価7万円程度である。13万円の粗利がでます。他にも、パンフレットを作る。ネット印刷のフォトブックを利用したり、販売用のパンフレットを作ります。1部500円程で作り、1500円~2,000円で販売して、粗利を出していきます。この粗利を役者のギャラや劇団運営費にあてていきます。客単価3,000円が目安になります。

 

 <2020.2.11追記>※グッズの売り方について具体的に書きました。

tokyo-bbs.hatenadiary.jp

 

 

《ネット印刷参考》 

※パンフレット⇒ パンフレット印刷ならラクスル!

※フォトブック⇒ MUJIBOOKS(無印良品)推奨のフォトブック『BON』

 

《稽古場・消耗品》 

※コピー用紙、飲料等⇒アスクルなら欲しいモノがすぐ見つかる、すぐ届く!

 

この記事は、これから「旗揚げ」して頑張っていこう、という劇団の方向けです。少しでも役に立てばと思います。よろしければ、ぜひ「いいね」や「シェア」をお願いします。

 

【2019.6.29追記】

衣裳や小道具のレンタルについて、専門の小道具さんや衣裳さんからお借りすることもありますが、規模が小さいときは割高になるので、自費で購入をしがちです。最近のおすすめは、DMMのいろいろレンタル。これは劇団用というわけではなく、旅行やイベント時にだけ使うものを貸してくれるサービスなのですが、演劇の衣裳や小道具にも使えます。興味がある方は、DMMレンタル【公式サイト】チェックしてみるとよいと思います。

 

【2019.12.24追記】

演劇だけで食べていける人は本当に一握りです。アルバイトで生活費を稼ぎながらという方も多く、時給が高くて、1週間~2週間まとまって休める派遣のお仕事はありがたい存在でした。時給1600円もありました。⇒ リクナビ派遣